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「ね〜ね〜家政夫、カカオクイーンの所へ パウダーもらいに行かなくてイイの?」 朝食が終わり、食器の汚れを洗い流している 家政夫ことリキッドの背に、ロタローが声を掛ける。 「そういえば、バレンタインデーだったな〜」 「うん!!普通のカカオでも美味しいけど、 僕 クイーンのパウダーで作ったケーキが好きなんだ〜」 「よっし、取りに行って来るか」 嬉しそうに言うロタローの笑顔を見返しながら、 食器を片付けると、エプロンをはずして籠を背負う。 「あ、ねえねえパプワくん、カカオベビー達が どのくらい大きくなったか見に行かない?」 「おお、それはイイ提案だぞロタロー。 じゃあ皆で行くぞー」 「わう!!」 「わ〜い♪」 ウキウキとしたロタローの鼻唄を先頭に、 パプワ御一行様はカカオの森へ。 「家政夫まだ〜?」 「もうちょっと待ってろ、特製ザッハトルテ作ってやっから」 カカオの森から最高級のカカオを持って帰り、 せっせとケーキ作りに励むリキッドに、 そわそわと待ちきれない様子で子供達が背後から覗き込む。 「イイにおいだよね〜、パプワくん」 「さすがカカオクイーンだな」 「わう♪」 レンジで焼き上げに入ったケーキの完成を待ち望みながら、 リキッドが出したお茶を飲み、楽しそうに微笑むロタローに パプワは扇子を広げてそれに答えている。 すると突然、壊されそうな程の勢いで扉が開かれる。 「オラァ〜リキッド〜〜〜!!メシ寄越せや〜〜〜!!!」 叫びと共にパプワハウスに現れたのは、金色の髪をなびかせた、 獅子舞ことリキッドの元上司、ガンマ団特戦部隊隊長・ハーレムであった。 甘いにおいを嗅ぎ付けたかのように現れたハーレムに、 毎度の事ながら、半ば呆れたような視線を向ける住人一同。 「もの凄くイイタイミングで現れたね、おじさん」 「何の事だ?それよりもメシだメシ!!さっさと作れよリキッド!!」 「ったく、それしかないのかよアンタ!!」 「んだと!?じゃあ今日は俺様の誕生日だから祝え!!」 「………………(それはそれでどうだろう)」 ふんぞり返って偉そうに(いつもそうなのだが) [さあ祝え]と言わんばかりの態度に、リキッドは溜め息を洩らす。 その横で、ロタローが驚いて声を上げる。 「え〜っ!!今日おじさんの誕生日なの?」 「おうよ」 「何だよ〜、そういう事は前もって言ってよ〜 知ってればパーティー開くのにさ〜」 ぷ〜っと膨れてそんな事を言うロタローに、 少し驚いたように目を丸くしたハーレムは、 [そりゃ悪かったな]と笑いながら、 ロタローの頭をグシャグシャと撫でている。 [セットが乱れる]などとわめきながらも、その顔は嬉しそうだ。 それを見ていたパプワとチャッピーが、再びポンと扇子を広げる。 「心配ないぞロタロー」 「え?」 「準備はちゃんと整ってるぞ〜」 「パッ……パプワ!!」 その発言に慌てるように、何故か顔を赤らめて 急いでパプワの口を塞ぐリキッドだったが、事既に遅し。 [どういう事?]と言いたげにロタローがリキッドを見る。 「きょっ今日はバレンタインデーだから!! パーティー開いて皆で騒ごうと思ってさ!!」 広場では会場が既にセッティングされており、 看板には[ハーレムさん誕生日おめでとう]の言葉と共に、 [Happy Varentine]という文字が書かれており、 島中の生き物が集まって騒いでいた。 並べられたテーブルには様々なチョコのお菓子や料理が置かれ、 周囲は甘いチョコの香りと美味しそうなにおいに包まれている。 「わ〜、お菓子がいっぱいだ〜!!!凄いね〜、これ全部家政夫が作ったの?」 「まあな」 「ねえねえ、食べてイイ?」 「ああ」 「わ〜い!!パプワくん、チャッピー、行こう!!」 「んばっ」 嬉しそうに走り去って行く2人と1匹を見送ると、 隣でハーレムがニヤニヤと笑っているのが目に入る。 「なっ……何スか」 「いんや別に〜?さ〜て、俺も食べまくるぞ〜!!!」 パーティーは夜遅くまで続き、日付けが変わった頃になってようやくお開きとなった。 パプワハウスにロタロー達を連れ帰って寝かし付け、 眠ったのを確認すると、リキッドは片付けをする為に1人広場へと戻っていく。 「ちみっこ共はおとなしく寝たか?」 食器を集めていると、ハーレムが酒瓶片手にこちらへやって来る。 しこたま酒を飲んで、かつての同僚達と共に騒いでいたので、 すっかり眠ったと思っていたのだが、そうではなかったらしい。 「騒ぎ疲れたみたいで、グッスリ眠ってるッスよ」 手伝うでもなく、リキッドの片付けを眺めながらの問いに、 苦笑しつつもそれに答える。 「パプワから聞いたぜ?このパーティー開くのに、 お前偉く頑張ったそうだな」 リキッドが忙しく皆にケーキを配ってるのを見計らって、 パーティーの最中にパプワとロタローがハーレムの側へやってきた。 「おじさん、誕生日おめでと〜」 「僕達からお前に何もしてやれないけど、いい事を教えてやるぞ」 「ん?」 「家政夫はね〜、おじさんの誕生日をお祝いする為に、 皆にコッソリ連絡を取ってたんだってさ〜。 意外にマメだよね、家政夫ってば」 パプワに事情を聞いたらしいロタローが、クスクスと笑いながら言う。 「それから、お前が好きな料理の仕込みもいっぱいしてたぞ」 「そうそう、何かいつもより作ってる量多いなとは思ってたんだよね〜」 「だから今日くらいはリキッドに優しくしてやれ」 「感謝しなよ、おじさん」 ニコニコと笑う2人に、苦笑を浮かべつつ頭を掻く。 「ったく、ちみっこにはかなわねェなぁ……わあったよ」 「アリガトな、リキッド。メシ、うまかったぜ」 「……い、いや……その…… ま、まあこういうイベントは皆で楽しくした方が いいかなって思っただけッスから!! で……でもホントはパプワ島にバレンタインなんて あ、あんま関係ないッスけどね」 優しい微笑みを浮かべて言うハーレムに、 動揺したらしいリキッドは顔を赤らめながら しどろもどろに言う。 「…そういう事にしといてやるよ」 その言い分に、ニヤリと笑いを浮かべると、 リキッドが恥ずかしそうに視線を逸らす。 「しかしそうなると、リッちゃんからは誕生日プレゼントを もらってねえって事になるなぁ……」 空になった瓶を捨て、代わりに煙草をふかしながら、 思い付いたようにそう言うと、リキッドが顔をしかめる。 「うへェ……勘弁して下さいよ。 何作るにしても、もう材料なんかないッスよ?」 「バーカ、食いモンはもういらねェよ」 「何か買うにしても皆寝てるし……」 困った様子で考えているリキッドを楽しそうに眺めながら、 ハーレムがゆっくりと近寄って来る。 「そうだな〜、じゃあリッちゃんがチューしてくれりゃあ チャラにしてやってもイイぜ?」 「ええっ!?そ、そんな事言われても……」 顔を近付けてそう言ってやると、 顔をゆでダコのように真っ赤にしながら、 あわあわと慌てている。 「………なんてな。冗談だよジョーダン。 真に受けてまっ赤になちゃってカワイイな〜リッちゃんは!!」 ベーっと子供のように舌を出して、豪快に笑うハーレム。 その横では恥ずかしそうにリキッドが俯いている。 「さ〜て、俺もそろそろ寝るかな」 ちょうど煙草が燃え尽きたのを機に、 立ち去ろうとしたハーレムの腕をリキッドが掴む。 「たっ……隊長!!」 「ん?」 そのまま勢いよく引っ張られ、体勢を崩した瞬間、 柔らかい唇の感触がハーレムに触れる。 「誕生日…おめでとございます。 ………………お休みなさい!!!」 そう言って食器を抱えると、リキッドは 逃げるようにその場を駆け去って行ってしまった。 「唇じゃねえ辺りがボーヤだよな〜…… ま、頂けるモンは頂いときますか」 ハーレム隊長誕生日小説のリメイク版をお送りしました。 一ヶ月過ぎましたけど(汗)隊長お誕生日おめでとうございます!!! まだお互い告白はしていないんですけど、ラブラブですな〜(笑) そしてロタローとパプワくんが初めて出て来ました。 ちみっこ大好きですけど、難しいなぁ……(汗) 一応相関図は作ってあるので、また色んな人を出したいと思います。 |