|
「ん!」 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」 突然庵に向かって、満面の笑みを浮かべながら手を差し出す京。 しかし、差し出された方は意味を飲み込めず、その手をじっと見ている 「ん!」 もう1度催促するようにズイッと手を出す 「……何だその手は」 相変わらず状況が把握できない庵は、そうつぶやくだけでポカンとしている それ以上何も起こる気配がないので、その状況を打破すべく、うんざりしたように京が口を開く 「………今日は何月何日だよ」 「………3月………1……4日だな」 「それでこの手が出てんなら、思い当たる事は1つだろ?」 キッパリとそう言い切り、さぁ出せと言わんばかりに力を込めて再び手を差し出す 「‥‥‥‥‥‥??」 庵はしばらく何があっただろうかと考え込むが、全く思い当たるものがない 「心当たりは全くないが……?」 「だ〜〜〜〜もぉ!!!ホワイトデーだよ!ホ・ワ・イ・ト・デ・エ!!!」 全く答えに辿り着かない庵に業を煮やして、京がドン、とテーブルを叩いて叫ぶ 「ああ……」 と気のない返事が返って来たので、 『こいつにそういうのを期待した自分がバカだった…』と自己嫌悪に陥りつつも、 何とか手の意図を察して欲しいので、 [あ〜も〜〜〜!!!」と悶えながらも説明する 「俺がわざわざ作ってやったクッキー、バレンタインにやっただろ? だからそのお返しに何かくれって言ってんの!!」 段々と自分が情けなくなって来て、半泣き状態で訴える京 「なる程…その手はそういう意味か」 「ようやく納得してもらえて嬉しいよ」 「しかし……急にそう言われてもな……」 情けないを通り越して、もはや自暴自棄と化している京を見る事もなく、庵はまたも考え込んでしまう それを横目でチラリと見て 「言っとくけど、中出ししたり顔にブッ掛けたりして 『ホワイトデー』とかいうくっだんね〜オヤジギャグブチかましやがったら……」 そう言うと、部屋中をキョロキョロと見回し、何かをみつけるとそこへツカツカと歩いていく。 掴んだのは庵がライブでよく使うギターだ。それを掴んでニヤリと笑う 「お前の大事なコレ、速攻で燃やしてやるから、そのつもりで」 「………わかった」 『コイツならやりかねんな……』と心の中で溜息をついて、半ば実行しようとしていたプランを抹消する しばらくの思案の後、庵が顔を上げる 「………欲しい物は何かないのか?」 「え?俺が欲しい物??」 まさか聞かれるとは思ってもみなかったので、慌てふためく京 「ああ、何でも買ってやるぞ」 「えっと………何だろ……」 今度は庵に代わって京がう〜〜〜んと考え込んでしまう。 ーしばらくしてパッと顔を上げる 「これといって欲しい物はねェや。………それに…………」 庵と目が合って、ハッと何かに気付いたように、珍しく言い淀むので、 「それに……?」 気になるので、続きを促すように京の言葉を繰返す 「………そ、それに…俺は手作りであんま金かかってねェのに、 俺だけイイ物もらうってのも……何か…気が引けるし……」 恥ずかしそうに庵から視線を反らし、ポリポリと顔を掻きながらつぶやく 庵はそれを愛おしそうに目を細めて眺め、 「ほう、少しは『遠慮』というものがわかってきたか」 「ぐっわ………人がマジメに言ってんのに、テメェわッ!!」 恥ずかしいのを精一杯こらえて言った言葉を茶化され、 カッとなって立ち上がると、何故か庵も立ち上がってくる 「な、何だよ……やるっての………!?」 庵は牙を向く京の腕を掴み引き寄せ、その瞬間に軽く唇を奪う 「………ッ」 「…明日…お前に合う物を何か買って来てやるから、今はこれで我慢しろ」 ゆっくりと唇を離し、そっと耳元に囁く 「〜〜〜………」 庵の腕の中で、京が消え入りそうな声で何かつぶやくので、 顔を見ようと少し京を離すと、京が庵の服を掴んで引き戻し胸元に顔をうずめる 「………だったら…こんな軽くじゃなくて…もっと…ちゃんと……キ…ス……しろよ……」 庵から見える角度では表情はわからないが、耳まで赤くなっているのが見える そのまま服を掴んで動こうとしないので、『仕方ない』というような半ば呆れた、 しかし嬉しそうな溜息を洩らし、京の顔に手を添える ピクッと身体全体が反応して、おそるおそる京が顔を上げる。 その表情は、嬉しさと困惑の混じった何とも色気のある表情で、 庵は満足そうに目を細めると、その唇に口付けた 「………んッ…」 すると、京が庵の首に腕を回し、激しく舌を絡めてくる。 庵はその行動に少し驚くが、冷静に京から唇を離す 「……これ以上やったら止まらんぞ。いいのか?」 これ以上が今回の望みではない事を知っているが故に、荒ぶる気持ちを抑えつつ京を諌めると、 京はしばらく名残惜しそうにポヤンとしているが、ハッと我に返って 「確かにそりゃ困るな」 照れくさそうにヘヘヘ…と笑う 「あのさ、明日何か物もらってもさ、それただの『プレゼント』になっちまって、 『ホワイトデーのプレゼント』じゃなくなっちまうんだけど」 『ーあ、そうだ』と手をパンと叩いて庵に言ってやると、 庵は「ぬ……」と意味を理解して少し困ったような顔をする 「ーで、思い付いたんだけど、今日は何にもしないでお前と一緒に寝たいんだ、俺。 これをホワイトデーのプレゼントにしてもらっていい? …………お前にとっては生殺し以外の何でもないと思うけど………」 「……まるで俺が毎日お前を犯してるケダモノみたいな言い方だな、それだと」 「………ダメかな?」 子犬のような瞳でみつめられれば、「No」と言えるハズもなく、フゥ、と降参の仕種を取る 「………まあ、たまにはいいだろう」 呆れたような口調ではあったが、京を見るその瞳には愛しさが溢れていた 翌朝。鳥の鳴き声で目を覚ました庵は、隣にいる京の顔をそっと見る。 まだ起きてはいないようで、安らかな寝息をたてて眠っている 夕べは京との約束通り、行為に及ぶ事もなく2人で他愛のない話をして眠ったのだが、 寝付きのいい京は別としても、 その京の温もりに誘われるようにいつの間にか眠っていた自分が不思議だった 『俺も少しはヒトらしくなったか?』 と心の中で苦笑していると、 「んん……」 と京が少し身じろぎして目を覚ました 「おはよ〜……」 まだボンヤリしている顔のまま、嬉しそうに微笑む姿は太陽そのままといった感じだが、 庵はその時『たるんだクマみたいだな…』と考えていた 「どう?よく眠れたか?」 まだ眠いのか、ポヤポヤした顔のままで聞く 「ん?………ああ、あかげ様でな」 『たるんだクマ』などと考えていたため少し返答が遅れるが、 京は気にした様子はなく、相変わらず『たるんだクマ』状態で庵を眺める 「良かった、ヤッた後みたいに穏やかな顔して寝てたもんな〜」 ヘヘヘヘ〜〜、とユルユルにいたずらっぽさを足したような表情で笑う京の発言に、 少し驚いたように目を丸くするが、 「……そうか。感謝する」 と言って優しく京を抱き締める。 京はその胸に寄り掛かって、その温もりを確かめながら 「………時々…こうやって寝ような」 とつぶやく 「『時々』な。でないと俺の身がもたん」 と、困ったように庵が言うと、意識がハッキリしてきたのか、ドンと庵の胸を叩き 「それは俺の台詞だっての」 とクスクス笑いながらツッコミを入れる。そして庵の身体にゆっくりと腕を回し、 「………でも………今なら…してもイイぜ」 ひっそりと、甘い吐息のように囁く。庵は満足そうに目を細め 「ほう……珍しく素直なお誘いだな」 と言いながら、抱き締めた背中から衣服の下へ手を侵入させていく 「ひねくれ者で悪かったな」 ベ〜〜〜ッと舌を出して庵を睨むと、額に口付けが降る 「そういうところがお前の魅力、という事にしておこう……」 そう言って、文句を返そうとする京の唇を深く塞いだ ●おわり● ホワイトデー2002年版 何か無理矢理ノーマルに持って行ってますね(汗) 最近エロばかりなので、ちょっと休憩的な内容にしてみました。 バカップル全開!!イエ〜イ(笑) 最近鬼畜庵さんばっかだったので、こういう京に甘い ス-パーダーリン庵さん(笑)が何かスゲエ久し振り過ぎで変に感じます(汗) 以前と別人だったらゴ〜メンナサ〜イヨゥ(反省の色ゼロかい) こんなんでどうですか、お客さん(笑) |