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「来てみたはイイけど……サスケ起きてっかな〜…」 うちは邸の門前に、訪ねるべきか否か、笹の葉をサラサラいわせながら かれこれ10分程ウロウロ迷っているナルトの姿が。 サスケへの恋心を自覚したものの、まだ告白もしていないので、 今現在の2人の関係は『第7班のチームメイト』止まりだ。 しかも仲良くするどころか、喧嘩が絶えない毎日で、 お世辞にも仲が良いとは言えない関係だ。 そんな自分が家へやってきて、変に思われないだろうか。 「絶対変な顔されるってばよ〜〜〜」 あれこれと思い悩み、やっぱり帰ろうと門に背を向けると、 ガラガラと音を立てて扉が開かれる。 「――オイ……いつまで人の家の前でウロウロしてるつもりだ このウスラトンカチ」 その声に振り返ると、眉間に皺を寄せていかにも不機嫌そうなサスケが 玄関口で腕を組んでこちらを見ている。 予想外の事態に頭がついていかず、ナルトはその場に硬直してしまう。 「何か用があんなら…入れよ。……虫が入っちまうだろうが」 「えっ……ぁ………うん」 お邪魔します…と小さく呟いて、門をくぐって中へと入る。 静謐な空気を漂わせる庭がそこには広がっているのだが、 今のナルトにはそんなものを見る余裕はない。 「あのさ…あのさ、何で俺が外にいるってわかったんだってば?」 玄関を通り、サスケの後について廊下を進みながら、 静かなので声を潜めながら、思い出したように尋ねる。 「……お前は気配を消してないからすぐにわかる。 ウロウロしてるばっかで全然戸を叩きもしねえから… いい加減ウザくなって出て来た」 「うぅ……だってサスケ寝てるかなって思ったんだってばよ〜〜〜」 振り向かないまま、憮然とした口調で喋るサスケに、 笹を握り締めて、申し訳無さそうに項垂れる。 「……そういえば、身体はもう大丈夫なのかってば?」 サクラからサスケが退院したのは聞いていたのだが、 チームメイト兼ライバル(それ以上希望)としては、 本人に確認しないと心配なのである。 「―あぁ」 短く返事をすると立ち止まり、正面にあった襖を開いて、 後ろのナルトを居間へ導く。 所在なげにソワソワした様子で座るナルトが持つ物に、 ここへきてようやく気付く。 「さっきからサラサラ音がしてたのはそれか」 「ん?うん、もらったんだってば。 家に飾る所ないし…1人でやってもつまんねェから…… …………サスケもやんねェかなって思って……」 指差された笹を揺らして答えながら俯く自分を 無表情に見返すサスケに、ナルトの心中は穏やかでなくなってくる。 「ホッ…ホントはサクラちゃんも誘いたかったんだけどさ、 もっ、もう遅いしな!!」 『サスケと2人で七夕をしたい』なんて絶対言えないので、 言い訳がましいとはわかりつつも一言付け足しておく。 赤く火照りそうになる頬を隠す為にプイ、と横を向いて 自分の意地っ張りな性格に軽く自己嫌悪。 「―――それがここへ来た用件か?」 少しの沈黙の後、溜め息混じりにサスケが言う。 「うん、そぉだってばよ」 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」 再び押し黙って、そっぽ向きながら頭をボリボリと掻くサスケ この後どう続けていいのかわからないので、ナルトもとりあえず黙る。 「えと……嫌だったら別に――――」 「お前はやりたいんだろ?」 「ほえ?」 沈黙を[拒否]と判断して帰ろうと立ち上がった ナルトの言葉を遮るように、半ば語気を強めてサスケが見上げる。 「――だから、お前はしたいんだろ?七夕」 「――――――うん」 ぽかんとした表情で立ち尽くすナルトに再び同じ質問をすると、 その表情のままよくわかっているのかいないのか、こくんと頷く。 「だったら付き合ってやる。書くもの持って来るから、ちょっと待ってろ」 そう言って呆然としているナルトを残し、さっさと部屋を後にするサスケを、 夢でも見ているかのように視線だけで見送る。 「サスケが一緒に……って言ってくれたってばよ」 ストン、と座り込んで確認するように呟くと、 サラリと笹が揺れる。 「エロ仙人に感謝だってば…」 「『中試験合格!!』やっぱコレだってばよ〜〜」 「まずは俺を倒してからだろ、ドベ」 「むぅ!!じゃあ『打倒サスケ』ってのも書かないとな!!」 「………書きゃイイってモンじゃねェだろ……」 「イイんだってばよ!! オノレの夢に向かって努力する為のセンゲン、 みたいなものなんだってば〜〜〜〜 ……そういうサスケだって 『一族フッコー』とか『ヤボータッセー』とか書いてんじゃん!!」 「……………………漢字で喋れよ ――ってかお前が書けっつーから仕方なく書いたんだろ!?」 「へっへ〜ん、俺のコウミョウなワナにハマッたってばよ〜〜♪」 ペンを持って戻って来たサスケと共に、 ワイワイと言い争いながらも、色とりどりの短冊に 思い思いの願い事を書いていく。 「あと1枚残っちゃったってばよ〜〜」 「……よくこれだけ書く事があるよな、お前……」 ペラペラと最後の短冊を揺らして、疲れた様子のナルト。 その正面では、次々とナルトが書き散らす短冊を 丁寧に色合いを考えつつ笹にくくりつけながら、 その数にウンザリとした様子でサスケが作業をしている。 「―あ!! なぁなぁサスケ、ノリ持ってね?」 何かを思い付いたらしいナルトが、机から身を乗り出してくる。 「糊?んなモン何に使うんだよ」 「イイからイイから」 ニコニコ笑うナルトに、不審そうに眉を寄せながら立ち上がり、 糊を取ってくるサスケに「サンキュー」と礼を言うと、 クルリと背を向けて何かをし始める。 「?オイ、何してんだ」 「こっ、こっち見るなよ!?」 覗き込もうと身を乗り出したサスケを制して、作業再開。 不思議そうな顔のままでいたが、それ以上追求はせず、 黙ってナルトの作業が終わるのを待つ。 「笹、かしてってば」 「???」 言われた通り、短冊の分ズッシリと重くなった笹を渡すと、 またクルリと背を向けてサスケに見えないよう、 モゾモゾと何かをしている。 「出来た〜〜〜〜 ―で、これをどうするんだってば?」 完成して満足そうに微笑むも、この先どうしていいかわからず、 頭の上に疑問符を沢山浮かべたような顔をして、首を傾げる。 「縁側にでも吊るして飾っとけばイイだろ」 そう言ってナルトから笹を受け取り、 重心になる辺りに紐をくくりつけ、縁に近い障子の戸の上に出た 額縁を飾る時に使うフックに引っ掛け、短冊が垂れるように立て掛ける 「これでいいだろ」 「うわぁ〜〜〜………キレイだってばよ〜〜〜〜」 吹き込んだ風に揺れて、短冊と笹の葉がサラサラと音を立てる。 その様子に、ナルトは目を輝かせて見蕩れている。 すると、急に部屋の明かりが消える。 「―サスケ?」 「こうした方が、星が良く見える」 「うぁ…………」 見上げた空は満天の星空。 サラサラという音が、まるで天の川の流れる音のようで、 その美しさにナルトは言葉もなく見上げる。 「オリヒメは今頃……ヒコボシと何話してんのかな……」 隣に座って同じように空を眺めていたサスケが その呟きを聞いて笑っているようだったが、 今は部屋が暗くてその顔を見る事が出来ない。 表向きは面白くなさそうに頬を膨らませてはいたが、 内心ではその顔を見れたら良かったのに、などと考えつつ、 先程つけた短冊を見る。 「願い事……叶うといいな」 「そういえばさっき、糊使って何したんだ?」 ナルトの言葉に思い出したのか、 先程の不思議な行動について尋ねてくる。 「教えてやんねェってばよ〜〜〜だ」 「……………ガキ」 「うっせっての〜〜〜」 ぷうっ、とナルトが頬を膨らますのがわかったのか、 サスケがフン、と鼻で笑うのが聞こえる。 「でも……こうやってサスケと一緒に騒いだり、 一緒に星見たり出来て……嬉しいってばよ…」 「………何だって?」 「べっ………べっつに!!」 ナルトの幸せそうな微笑みを、星々が優しく照らしていた。 ――翌日―― あのまま眠ってしまったナルトを、何とか居間に敷いた布団まで引っ張り、 サスケ自身もその隣に布団を敷いて眠った。 洩れる朝の光に、珍しくすんなりと目を覚ました自分に驚きながら、 着替えるべく起き上がる。 ナルトはまだ隣で幸せそうな笑みを浮かべながら眠っていて、 「ばか面」とか苦笑しつつ起こさぬように移動する。 その視線の先にゆうべの笹をみつけて、何とはなしに近寄る。 そこで1枚の何も書かれていない短冊を発見する。 「………?」 確か自分がくくりつけた短冊には、ナルトの独特の字で 『火影になる』だの『一楽のラーメン腹いっぱい食べたい』だのと書かれていたのを記憶している。 ―という事は、これがナルトが「糊をかしてくれ」と言ってつけた短冊なのだろう。 キッチリと糊付けしてまで見られたくない願いとは、何なのだろうか。 何となく興味を引かれて短冊を引き寄せる。 すると太陽の光に透けて、中身が見えてしまった。 「………………ウスラトンカチ」 そう言って洗面所に向かったサスケの顔は、 ほのかに赤かったとかなかったとか。 おわり NARUTO七夕小説………何とか書き上げてみましたが、いかがでしたでしょうか? とにかく自来也とナルト親子(笑)のお話が書きたかったのですよ。 自来也×ナルトにはなっていないハズです。 あくまでも基本はサスケ×ナルト!!(笑) 自来也の口調が難しかったですね〜……単行本読んで修正しまくりましたが。 キャラとしてはとても好きなのです、自来也様。 原作版ではあまり思わなかったのですが、 アニメ版ではナルトと親子のように描かれていて、 ものスゴクハマッてしまいました…… LOVE似たもの親子(笑) 最後はサスナルテイストでまとめてみました。 …………短冊に何が書いてあったかは御想像にお任せしますvv |