――翌日――

見慣れぬ天井に驚いて飛び起き、
そういえば自分が火影邸にいるのだと
現在までの状況を思い出す。

既に部屋は静まり返っており、
人の気配がないのを知る。

「そっか…皆式典に行ったんだってば…」

時計を見ると、自分が思いの外深く眠っていた事を知る。
しかし、どうせ外にも出れないし、出たくもないので
もう少し寝ていようかと考えたが、
喉が乾きを訴えているので、水でも飲もうと起き上がる。
布団を足でめくり上げたところで、自分の腹が眼にはいる。

   里を壊滅に追い込み、沢山の命を奪った九尾の狐。
   それが自分の身の内に封じられている。
   当時を知る大人に口外無用と禁じている為、
   大人以外は決して知らない秘密。
   でも口外しない分、大人達の視線がそれを語っていて。
   そのせいで沢山の痛みや辛さ、悲しみ、憎しみを知った。


「でもさ、お前のおかげで生きてられるって事もあるよな…」

自分の腹を擦りながら感慨にふける。
数々の大人から与えられた傷、任務での怪我、
九尾の回復能力のおかげで、
深手を負ってもすぐに傷は塞がってくれる。
そのおかげで窮地を切り抜ける事も出来た。

「俺ってば、今はほんのちょっとだけど、
 お前の事…嫌いじゃね〜ってばよ」

聞いているとは思わないが、何となく言い聞かせるように言って、
欠伸を噛み殺しながら、洗面所を探そうと立ち上がり、襖を開ける。






「やっと起きたかよ、ウスラトンカチ」






パタン。




























「なななな何でサスケが、こっここにいるんだってば!?」

驚きのあまり締めてしまった襖を再び勢い良く開けて、
あわあわと動揺を隠せないまま
不機嫌なオーラを漂わせる相手を指差して叫ぶ。


「俺がいちゃ悪いかよ………」

傷付いたように呟いた声は、パニック状態のナルトには届かない。
それを見遣り、諦めたように深い溜め息を洩らすと、
ナルトの顔目掛けてタオルを投げ付ける。

「―とりあえず顔洗って来い。説明はそれからだ」














洗顔を終えたナルトに茶を入れてやりながら説明を始める。

それによると、
  今朝シズネという火影の使いがやって来て、火影邸へ呼ばれた。
  そこには火影がおり、
  「昨日酒盛りに無理に付き合わせたので、式典を休ませてやりたいが、
   ここには禁術などを含めた重要文書が山程ある。
   イタズラ小僧が留守中何をするか気が気で無いので、
   お前も式典を休ませてやるから、ナルトの面倒を見ると共に
   イタズラしないように監視してくれ」というものだった。

「何だよソレ〜〜!!俺ってばそんなガキじゃねェってばよ!!」

あんまりな言い分に、プーッと頬を膨らませる。
しかし内心では上手く式典を休む口実を作ってくれた事に感謝していた。

「―それで、お前が起きるまで暇だったし、
 その辺にあった医術の本読んでたら…………
 ボサーーッとした顔でお前が出て来たってワケだ」
「う〜〜〜〜………
 まさかサスケにこんなカッコ見られるとは…
 トホホだってばよ〜……」

説明を終えたサスケに、先程の自分の姿を思い出して、
恥ずかしいやら悔しいやらで
耳まで真っ赤にしつつ、ガックリと項垂れる。

「―あと、お前が寝ている間にサクラが来た」

沈黙を誤魔化してくれるように、
サスケが話題を変えてくる。

「えっサクラちゃんが!?
 じゃあもう式典終わってるってば?」
「らしいな。お前がまだ寝てるって言ったら
 また夕方に寄るって言ってたぞ」
「……そっか」

心配して立ち寄ってくれたサクラに嬉しくなりながら、
サスケが入れてくれたお茶をすする。
再び落ちる沈黙に、お互いが気まずさを感じる。
何となく視線を感じでサスケを見るが、
相手は横を向いていて。
疑問に思いつつも再びお茶をすする。
そこでようやく2人きりなのだと気付いたナルトは
ドキドキとせわしなく打つ心臓の音が
聞こえてしまわないか気が気でなくなり、
サスケを直視出来なくて俯く。

すると突然ガタン、と音がして
驚きのあまり飛び上がりそうになると
サスケが何やら足元を探っている。

「忘れるところだった……」

そう言って机に置いたのは、包装紙にくるまった中くらいの物。

「何だってば?」
「……その、お…お前の…誕生日、プレゼント」

視線を合わせられず、照れ臭そうに言い淀みながら、
何とか言葉を伝えると、ナルトの顔が
喜びでパァァァッと輝く。

「開けていいかってば!?」
「………あぁ」

ウキウキと嬉しそうな微笑みを浮かべながら、
鼻唄混じりに包装紙をはいでいく。

中から出て来たのは、
柄がオレンジ色でカワイイスコップと、
カエル型になったじょうろ。
ちょっとガマブン太に似ている。

「何やったらイイかわかんなかったんだが……
 お前、花とか育てるの好きって…言ってたから…」

珍しく言い訳のように説明しながら、
その場から消えたいと思う程顔を背けている。
しかし完全に顔が隠れるワケもなく、
耳が赤いのがナルト側から見てとれる。

「あと、これ」

ゴソゴソとポケットから花の種入りのパックを取り出す。
渡されたのを見ると「ミニひまわり」と記載されていた。

「お前のイメージが……そんな感じだからな」

聞いてもいない事を喋るのは、どうも照れ隠しらしい。
ポリポリと鼻の頭を掻きながら、
目線は横にそれたままにして、
身体だけがナルトに向けられる。

「……誕生日……おめでとう…」

ボソリと呟かれた言葉とプレゼントには、
サスケなりの精一杯の気持ちが込められていて。

「ありがとってばよ!!」

どんな顔でこれらの品を買ったのか、
その姿が容易に想像出来て。
プレゼントをギュッと抱き締めながら
溢れんばかりの満面の笑みで、感謝を述べる。

それを真正面からモロに見てしまったサスケは、
突然手で口元を覆うと、
は――――――っと深い息を吐いて俯き、
そのままの姿勢で固まってしまう。

「サスケ?」
くそっ…絶対言わねェつもりだったのに…
「?」

小さな声で何事か呟いたサスケは、
顔から手を離したものの、
唇を噛みしめて何かに耐えている様子で。
心無しか唇が震えているようにも見える。

「ナルト……実は……その……」

それを不思議そうに首を傾げて続きを待つと、
サスケが微かに震わせつつ息を吸い込む。

「俺は…前から…お前の事が…………
 好きだ………
「―へッ!?」

ボソボソと喋るサスケに
ナルトが変に上擦った声で反応したのを、
聞き損ねたのだと判断して、
サスケの顔がガバリと上がって来る。

「―ッ だから、何度も言わせんな!!
 俺はお前の事が好きだって言ったんだよ!!!」

半ば逆ギレしたように叫んで、
大声で告白してしまった恥ずかしさに舌打ちし、
あまりの気まずさに立ち上がってその場を去ろうとする。

「ってちょちょちょっ…言い逃げしてくなってば!!」

突然の大胆発言に動揺しつつも、
逃げようとするサスケの腕を掴む。

「俺の事…す、好きって……ササ…サスケが!?」
「……っそうだよ……
 …ホントは言うつもりなかったんだけどな」

2人きりの時は今しか無いって思って……と、
恥ずかしいのか、ナルトに背を向けたままで答える。

「ほほほ本気!?」
「俺が冗談なんか言うかよ
 …悪かったな、驚かせ―――」
「おおお俺もだってばよ!?」

遮られたその言葉に驚いてサスケが振り返る。
見合わせたお互いの顔は、どちらも甲乙つけがたい程真っ赤で。

「プレゼントも嬉しいけど……
 サスケが俺の事好きって言ってくれた方が
 もっと嬉しいってばよ………」

喜びのあまり溢れて来た涙を拭いながら、ヘヘッ…と微笑む。
それを見ていたサスケが掴まれた腕をほどき、
ナルトと視線を合わせるように屈み込む。

「………サスケ?」

顔に添えるように手をあてて、
親指で涙の跡をそっと辿る。
思わず絡み合った視線が外せなくなり、
瞬きも惜しむように見つめあう。

「ナルト……」

そっと顎を上げるように動いた指が、
柔らかな唇をゆっくりと押し開く。

「サ…サスケ……―――」

相手の瞳の中に自分をみつけて、
ゆっくりと眼を閉じる――――――――――――






























バタ――――――――ン!!





「ぅおーーい!!ナルトは起きたかの〜〜〜!!」










[[[あ]]]











上機嫌でドアを開けて入って来た自来也の目の前には、
あと数cm、というところで硬直した2人の姿が。


「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜………
 スマンのォ、ジャストタイミングで
 邪魔しちまったようだのォ……」

ポリポリと申し訳なさそうに頭を掻いて、
真っ赤になってサスケを突き飛ばしたナルトと、
突き飛ばされて倒れたままこちらを睨むサスケを眺める。

「……まあ……とにかく!!無事くっついて良かったのォ!!」
[[!!??]]

ガハハハ…と豪快に笑う自来也のセリフに、2人の眼が見開かれる。

「なな何でエロ仙人が知ってるんだってば!?」
「何じゃ〜、気付いとらんかったのか?
 お前等端から見ればバレバレだったんだがのォ」
「えっ…じゃあサクラちゃんも知ってたりするのかってば!?」
「それはどうか知らんが…わからん事はないだろうのォ」

ナルトはサクラにバレていた事に、
サスケはサスケでカカシだけでなく
周囲にバレていた事に、
それぞれショックを受けながら、
2人の顔は青を含みつつ真っ赤に染まる。





「サスケくん、そろそろナルト起きた?
 …ってあれ?どうしたの2人共」
「あっ、サ、サクラちゃん!!!」

開きっぱなしの扉からヒョコッと顔を出したサクラに、
慌てた様子で走り寄るナルト。
普段と違う様子に
(自来也が何やら笑って2人の背を叩いているし)
何事かと尋ねるが、
サスケに「何でもない」と言われたので
とりあえずそれで納得しておく。

「そうそう、ケーキ作ってきたの。皆で食べましょ」
「わ〜!!!有難うってば〜!!!」

少し棒読み状態ではあったが
喜びを全面に表して飛び跳ねるナルトを見つつ、
ようやくおさまってきた頬の赤みを取り去る為、
ゲフンと咳払いしたサスケ。
それに気付いた自来也が、横でニヤリと笑う。

「………余計な事は言うなよ」
「―さ〜て、何の事かのォ」

睨みを飄々とかわす相手に、
また厄介な人物が増えたと溜め息を洩らしながら
2人を呼ぶナルト達の方に向かうべく足を向ける。



こうして、ナルトの幸せな誕生日は、
大好きな人と共に騒がしく過ぎていくのであった――










……何だこのラブコメ(笑)

以上が没にした部分のナルト誕生日小説でした。
没にした理由は「サスケが告白してるから」なんですよ。
もうちょっと先延ばしにしようと考えたもので。
まだサスケ自覚編も書いて無い事ですし。
サスケには悪いですが、もうちょっとモヤモヤしてもらいましょう(笑)

ちなみにサスケの告白セリフ、
ラジオNARUTOでサスケが言ってたセリフを
ちょっと改造して使ってみましたvv
かなり好きだったんで、ナルトに言ってもらおうと。
凄いイイんですよ、悶えます(笑)


拙い文章で没なのに、ここまで読んで下さって
本当に有難うございました!!

そしてナルト、誕生日おめでとう!!

















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