うちは邸―――

休みだったとはいえ、特に何もする事がなかったサスケは、
蔵に仕舞われた忍術書を見て印の勉強にいそしみ、気付けばもう
随分と遅い時間になってしまうまで没頭していたのだった。

夕食を食べ、風呂から上がった頃には、もう日付が変わるまで
あと僅かという時間になってしまっていた。

これでは休日だか修行日だかわからないな、と術書を片付けながら
己の行動に苦笑していると、居間にある時計が日付変更の時を告げる。
明日が任務にせよ演習にせよ早く起きなくてはいけないので、
体調を考えそろそろ寝るかと寝室へ足を向ける。



布団の中でしばらく微睡んでいると、外に何やら蠢く気配を感じる。
しかしそれは不愉快な侵入者ではなくむしろ歓迎すべき気配ではあるものの、
こんな時間にどうしたのだろうか、と心配になって布団を跳ね上げる。

ヒタヒタと足音を響かせて玄関へ向かうと、外をチョロチョロと行き交う
夜目にも明らかな黄色い頭が見える。どうやら様子をうかがっているらしく、
中へ入るか悩んでいる様子が動きでうかがえ、サスケの口に苦笑が浮かぶ。



「何人の家の前でウロチョロしてんだよお前は」
「!!サッ……サスケッ!!」
「家には俺しかいないんだから、チャイムくらい押せよ。泥棒かと思うじゃねえか。
 ……ってまあこんな場所に盗みに入るもの好きはいねェだろうけど」

パッと玄関の明かりがついた事に驚いていると、中から出て来て呆れたように言うサスケに、
ナルトはためらいながらもその顔を見上げる。

「えっと…起きてたってば?」
「ああ…忍術書読んでた」
「…良かった」

ナルトへの答えは嘘ではあったが、人一倍迷惑をかける事を気にするナルトには、
これくらいの嘘はついてもいいと思っているサスケである。

とりあえず入れと促すと、何か重いものを持って来たらしく、両手で何かを抱えている。
何だと問う前にその視線に気付いたらしいナルトが、「あ、これ?」と返して来た。

「お前にやろうと思って持って来たんだってば」


そう言って渡されたのはミニひまわりの鉢。


「これは……」
「前に俺の誕生日にくれたミニひまわりだってばよ。前にひまわりが好きって言ってたから」
「……だったらわざわざ今持って来なくても、明日任務の時でイイんじゃねえのか?」

こんな夜遅くにわざわざ家に持って来てくれたのは嬉しいが、そこまでする必要はないのでは?と
思い言ってみたのだが、その言葉にナルトが驚いた顔を向けて来る。

「うん……そ、それはそうなんだけどさ……」
「?」

何やら言いにくそうに俯くナルトに、サスケはわけがわからず首を捻る。
こころなしかその耳が赤いように見えるのは、目の錯覚だろうか?それとも願望か?


「あ〜〜〜……あのさ、あのさ……その。き、今日サスケ誕生日だろ?
 だ……だからっ……その、いい1番にお祝いしたかったんだってば!!!」


しどろもどろで視線を泳がせながら言うナルトに、サスケは嬉しさがこみ上げる。
差し出された鉢を受け取りながら、優しい微笑みをナルトに向ける。

「ありがとな、ナルト」
「ぅ…先にお礼言っちゃだめだってば」
「ん?」

受け取った鉢を脇に置きながら、何か言って俯いたナルトの顔を覗き込む。
その頬は林檎のように赤く色づいていた。

「あ……あのあの………おお、お誕生日、おめでとうってば!!」
「ああ……有難う」
「そっ……………それから!!オ……俺は……ッ」

まだ何か言おうと口をパクパクさせて、必死に言葉を紡ぎ出そうとする姿に、
愛しさが溢れて抱き締めたいのを、ナルトの言葉を遮らないように耐える。
きっと今言おうとしてくれている言葉は、サスケが今1番欲しいものだから。



「俺は、サスケが誰よりも大好きだってば!!!」



叫ぶようにそう言うと、ナルトはトマトのように首まで真っ赤になった顔を見られたくないのか、
勢いに任せてサスケに抱きついて、その胸に顔を埋めて隠してしまった。

しばらくその体を抱き締めて柔らかな感触に浸っていたサスケだったが、
その思わぬ行動は嬉しかったものの、出来ればその顔を見たいと思うのは贅沢な望みだろうかと、
サスケはナルトの肩を掴んで少し間をあけさせようと腕を押し出す。
すると大して力んだ様子もなく、黄色い頭だけだったものがゆっくりサスケの前に現れる。
う〜、と唸って恥ずかしそうにしているナルトの顔は、ヤケに色っぽく見えた。

「有難うナルト、スゲエ嬉しい」
「う〜……顔、見るなってば……」
「何で。顔見て礼ぐらい言わせろよ」

必死に顔を反らそうとするナルトにクスリと笑いながら、その額に口付けを落とす。
チュ、という音に一瞬何が起こったのか理解出来なかったナルトが、
数秒の後にボシュウ、と湯気を放ちそうな程真っ赤に染まる。
大して拒絶されなかった事に気を良くして、サスケは再び顔を寄せる。

「ナルト、ひまわりも貰うけど、もう1コ貰ってもイイか?」
「な、何だってば?俺あげるモンなんか何も持ってないってば?」

抱き寄せてその耳に囁くと、ビクリと震えながら慌てた様子でサスケの顔を見る。
それに微笑みを返しながら指をナルトの唇にあてる。

「キス…させろよ」
「え………ええええええええ」
「前のは事故だったからな。今度はちゃんとしたい」
「ぅ……あ……え…………」
「嫌か?」

もはや言葉もない程に動揺しているナルトに、半ば懇願するような眼差しを向けると、
少し躊躇った様子を見せたものの、コクリと小さく頷きを返して来た。
ゆっくりと伏せられる空色の瞳に吸い込まれるように顔を寄せ、柔らかな唇に触れる。
きっとこの瞬間の幸せは一生忘れないだろう、そう思いながら感触を味わうようにゆっくりと離れていく。
ナルトも同じような事を考えていたのか、離れた瞬間にほう、と甘い溜息を洩らし、
照れ臭そうにしながらも、ニッコリと幸せそうな微笑みを返して来る。








「あ…そうだ。このひまわりなんだけどな」
「……あ、ああ」

何となく甘い時間に不慣れな2人は、気まずさを誤魔化すように話題を逸らす。
パッと離れて脇の鉢を持ち上げ、被せてあったビニールをはがす。

「まだ花が咲いてないんだってばよ。今日の朝には咲くと思うんだ………そんでさ」
「何だ?」
「良かったら……サスケとその……咲くのを一緒に見たいなって思って。
 ……だから、サスケの家に泊まってもいいか?」
「!!!!!!!」

今のキスの先を求めているように思えなくもない、ナルトらしからぬ大胆な発言に、
思わず顔が緩みそうになるものの、すんでのところで持ち堪え、動揺を表面に出さないよう努める。
…………心の中では『その可愛い顔は反則だろ!!』など身悶えまくっているのだが。

「いいも何もこんな夜中に返す程俺は酷いヤツじゃねェよ」
「やった、有難うサスケ〜〜〜v」

また抱きついて来るナルトに理性をフッ飛ばしそうになるが、ここでフッ飛ばしては
今までの関係が同じようにフッ飛びかねないので鉄の根性で押しとどまらせる。










こうして朝、2人でひまわりの開花を無事見る事が出来たのだが、その夜にナニかあったかは、
サスケの名誉の為に秘密に…………………………――――――――――――















「何言ってるのよ、あんな目の下クマ全開の人が、ナルトにナニか出来たとでも思ってるワケ?」
「意外とそういう部分は紳士なんだねェ、サスケクン」
「………っていうかそういうの『ヘタレ』って言うんじゃない?」
「サクラさん……意外と毒舌だったのね」





おわり。


































そういうワケで、随分遅れてしまいましたが、サスケさんお誕生日おめでとうございます!!

タイトルが「ひ●らしのなく頃に」みたいですが、実際パクリました(笑)
思い浮かばなかったんで、テレビ欄とか見て決めました(安直!!)

内容的にはサスケさんに喜んで頂けるよう、ラブラブっぷりを上げたつもりです……
ってかようやくくっつきましたこの2人。随分前から相思相愛だったんですが、
お互い一方通行だったんで、その道を繋げてみましたよ〜。

……………ですけど、他キャラがメチャクチャ出張ってしまいました。特にサクラちゃん。
原作が男前なので、それに引き摺られる感じで男前度がアップしてしまいました……(笑)
ナルトは凄い甘やかすんですけども、サスケはからかって楽しむ、って扱いに落ち着きました。
男前がツナデ師匠から、からかいっぷりはカカシ先生からと、見事に師匠の技を受け継いでます(笑)

多少?ラブコメテイストになりましたが、急造であるものの出来としては満足してます。

ともかくサスケさん、これからも色々あるでしょうが(笑)ナルトくんとお幸せに!!

















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