任務明けの休日。趣味のガーデニングの材料を買う為、
いまや常連となっている『やまなか花店』へ赴くと、
そこには看板娘(本人談)の山中いのと、同じチームメイトのサクラがいた。

「あら、いらっしゃい。今日は何が欲しいの?」
「土と……あと元気ないのがいるから栄養剤も貰おうかなと思って」
「アンタもホント好きね〜。ちょっと待ってて、取って来るから」

そう言って奥に行ったいのを待っていると、横にいたサクラがまじまじとナルトを見る。

「な、何だってばよサクラちゃん」
「趣味が植物育てる事だ〜って言ってたけど、ホントに好きなんだなって思って」
「うん、やり出すとハマッちゃって止まらなくなったってば」
「でも何かに夢中になる事はイイ事よ」

偉い偉いと頭を撫でると、ナルトがえへへ〜と嬉しそうに微笑む。
それを見てカワイイ、とサクラが内心身悶えていると、いのが戻って来た。

「また仲良し姉弟でほのぼのしちゃって、あたしも混ぜて欲しいな〜」

2人の様子を見て拗ねた様子で言ういのに、サクラがクスクスと笑いながらナルトを引き寄せる。

「ナルトは私の大事な弟なんだから、いのにはあげませ〜ん」
「サクラちゃんっ」

慌てるナルトをよそに、女性2人は楽しそうに笑い合う。

「あら、でもあたしはサクラのお姉ちゃんみたいなもんなんだし〜?
 しかもこうして花の面倒みてるナルトにアドバイスしてあげてるんだから、
 ナルトのお姉ちゃんその2になってもおかしくないと思うけど?」
「お、じゃあお姉ちゃん同盟結んじゃう?」
「結んじゃう結んじゃう」

抱き込まれたナルトそっちのけに、2人で話をドンドンと進めて行ってしまい、
何だかわからないナルトは困惑気味にサクラといのをみつめる。
そのキョトンとした顔がまたおかしくて、2人はクスクスと柔らかく微笑んでいる。

「そうそうナルト、あれからひまわりの調子はどう?」

ようやく解放されて、赤い顔で2人から距離を取るナルトに、
先程言われた注文品を渡しながら、いのは気になっていた事を尋ねる。

「ひまわり?」
「うん、ミニひまわり。明日には咲きそうかも」
「そうなんだ、良かったわね〜。頑張った甲斐があるじゃない」
「咲くのが楽しみだってばよ〜v」

ワクワクした様子で言うナルトといのの会話に、サクラがちょっと考えるポーズを取る。

「それって……ひょっとしてサスケくんがナルトの誕生日にくれたヤツ?」
「ん?うん、この時期に育てるのがイイっていのに教えてもらったんだってば」
「へ〜サスケくんがくれたヤツだったんだ」

いのが珍しいわね、と感心している脇で、サクラが何かにピーンとひらめいたらしく、
ニヤリとナルトを見ると、その視線を受けていのも同じく何かに気付いたらしく、
2人から同じような顔で何やらみつめられるハメになるナルト。

「な、何だってばよ2人共!!」
「サクラ…気付いた?」
「そういういのも?」
「???」

ナルトが困惑しているのをよそに、いのは父親に店番を任せるとナルトとサクラを部屋に招き入れ、
さらにサクラと2人でナルトから離れた位置に移動し、何やらコソコソと話を始め出す。
何やらお互いにウンウンと頷き合い、結果が出た様子で再び戻って来る
……相変わらずニヤニヤとした表情は変わらないが。

「そういえばナルト、サスケくんの誕生日に何あげるか決めた?」
「え?えっと……そのひまわりあげようかなって思ってるってば」
「そういえばサスケくん、ひまわりが好きって言ってたそうだもんね」
「う、うん……」

何やらジリジリと詰め寄って来る2人にタジタジとなりながらも、
聞かれる質問には素直に答えを返して行く。

「そうなんだ〜、サスケくんも凄い喜んでくれるわ、良かったわね〜ナルト!!」
「う、うん?」
「ところでナルト、ひまわりの花言葉って知ってる?」
「??ハナコトバ?そんなの知らないってば」
「そうなんだ〜…じゃあサスケくんが何でそれくれたか知らないのね」
「サスケくんも不憫ね〜〜」

ね〜、とお互い顔を合わせて言うので、気になったナルトはどういう事かと尋ねる。
………その瞬間の2人の表情はまさに、『かかった!!』と言わんばかりの顔だったのだが、
元々色々と鈍いナルトがそんな事に気付くハズもない。

「ひまわりの花言葉はね、『あなたをみつめています』って言うの」
「サスケくんがそれを知ってたんだとしたら………大胆な告白ね、ナルト!!!」
「!!!!!!!!!」

ニヤ〜〜〜ッと笑う2人の言葉に真っ赤になって反応を返したナルトに、2人は確信を得る。
珍しくそれに気付いたらしいナルトが、いやその、と弁解をしようとするも、
動揺して頭が上手く働いていない為に上手く言葉にならないでいる。
その様子にますます確信を深めたサクラは、感慨深そうに何度も頷いている。

「ふ〜ん、やっぱりそぉかぁ」
「サクラちゃん!?」
「何かサスケくんの様子が変わったな〜と思ってたし、ナルトへの態度も
 随分柔らかくなったな〜とは前々から思ってたけど……そうなってたとはね〜〜」
「あの…………ごめん、サクラちゃん。それからいのも」
「「?何が?」」

感心しているサクラの言葉に、申し訳なさそうに縮こまっていたナルトが
か細い声で小さくなりながら謝罪の言葉を洩らす。
それにキョトンとした2人は思わず何をしたのかと顔を見合わせる。

「だって…サスケの事好きなんだろ?なのにサスケと俺ってば……」
「あら、付き合ってるって認めるんだ、カマかけただけなのに」
「っ!!」

ボシュ、と音がしそうな程顔を真っ赤にするナルトに、サクラはケラケラと笑う。
段々からかい方がカカシに似て来ていると思うのは、勘違いでもなさそうだ、
とはここにいないもう1人のチームメイトの後日談。
騙された、と涙目になっているナルトを見て、姉パーツ2のいのは助け舟を出す。

「サクラ、ナルトからかうのもそれくらいにしたら?泣きそうになってるじゃない」
「ああ、ゴメンね〜ナルト〜。でも私もいのも、本気でサスケくんが好きなワケじゃないから
 そんなに気にしなくてイイのよ?」
「そうそう、確かにカッコイイとは思うけど、付き合いたいってワケじゃないから安心して」

子犬をいじめているような罪悪感に襲われた2人は、その子犬を宥めようと
必死に言葉を紡いだり頭を撫でたりしている。その内に落ち着いたのか、
そうなの?と言うように2人の顔色をうかがって来る。

「うん、むしろ知らない誰かに取られるくらいなら、ナルトみたいなイイ子に取られた方が
 ず〜っとイイと私は思うな」
「……男同士なのに?」

どんどん弱々しくなる声に、今度はサクラではなくいのがハッと鼻で笑う。

「アンタそんな下らない事言うワケ?人が人を好きになるのに男も女もないわよ。
 そんな事を越えて好きになっちゃったなら開き直ってドーンと構えてなさいよ」
「うぅ……ありがと、サクラちゃん、いの」

うんうんとお互いの主張に頷く男前な少女2人組に、ナルトは心から感謝する。
特にこの2人からは白い目で見られるのでは、と恐れていただけに、
むしろ応援してくれるような姿勢を見せてくれた2人に、涙が溢れそうになる。





「それで?告白はどっちからしたワケ?」

………何だか先程までの感動が台無しになるような質問が投げ掛けられた。
要は人の色恋話で盛り上がりたいだけなのかも知れない。
そんな事を頭の片隅で思いながら、ナルトは期待の眼差しを向ける2人を見る。

「えっと……一応サスケにはそれっぽい事言われた」
「何か曖昧なのが気になるけど。それにナルトは何て答えたワケ?」
「ん……と別に何も言ってないってば」


「「はァ!?」」


思わず大音量でユニゾンしてしまった2人の顔を、心底驚いた様子で
目を大きく見開いたままみつめている。

「って事は付き合ってないワケ?まだ」
「うん……まあ一緒に帰ったり、時々一緒にご飯食べたりはしてるってば」
「それを付き合ってるって言うんでしょ!!」

ピシャリとサクラに言われて、そうなの?といった様子でキョトンとしているナルトに
2人は大きな溜息をついて首を振る。言えば『オイオイマジかよ』という感じだ。

「ここまで鈍いとは思わなかったわ……」
「サスケくん可哀想……」
「何でだってば?」
「アンタねえ!!自分に置き換えて考えてみなさい!!」
「サスケくんに好きだって言ってみたものの、相手は何も答えてくれない」
「でも一緒に帰ろうって言ったら帰ってくれるし、ご飯に誘えば食べてくれる」
「そんななのに好きだって言ってくれなかったら、ナルトはどう思う?」

怒りを露にまくしたてる2人が提示した状況を自分に置き換えて想像してみて、
思わず悲しい表情を浮かべるナルト。

「……不安になるってば」
「「そうでしょ!?」」
「それを今アンタがサスケくんにやってんのよ!!」

ダン、と机を叩かれてナルトはようやくその事実を認識し、サッと青ざめて行く。
理解してくれた事に2人は怒りを収めるが、ナルトは蒼白のまま混乱しているようだ。
それを宥めるように、サクラが優しくその頭を撫でる。

「明日がサスケくんの誕生日なんだし、ちゃんと言ってきなさいよ?」
「うん……そうするってば」



















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