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「隊長、メシ出来ましたよ」 Gと交代してハーレムの看病をしているリキッドが、 土鍋を持って部屋に入って来る。 「んだよ、おかゆなんかメシの足しになるか。肉にしろよ」 「まずはこれにして下さい。ロクなもの食ってない病気で弱った腹に いきなり肉とか入れたら吐きますよ」 中身を見てウンザリしたように言うハーレムに、 リキッドが珍しくうむを言わさぬ口調でピシャリと言い放つ。 それに少し驚いたような表情を浮かべつつ、言葉に従って 黙々とおかゆを口にするハーレム。 その様子に、マーカーとロッドが顔を合わせてニヤリと笑う。 粥はちょうど食べ易い温度になっており、梅干しが細かく潰されて 中に混じっており、わざわざ種を出す手間が必要なく、 相手を思って作られているのがよくわかる調理だ。 「うめェな……有難うよ、リキッド」 「どういたしまして。あ、食べたら薬飲んで下さいね」 そう言ってロッドから薬の袋を受け取り、中から小さな瓶を出す。 中には何やら液体が入っており、チャプチャプと音を立てている。 製作過程を知っているロッドとマーカーは、 サバトの森で何やらいわくありげな出来事があったらしく、 思い出すのも嫌そうに、深く眉に皺寄せて小瓶を見ている。 ハーレムはそれを受け取り、ためらいもなく一気に飲み干すのだった。 「タケウチくん達の事だから、 (原材料はともかく)飲んで寝れば治ると思いますよ」 2人の表情に何となく想像出来る材料を考えながら、 再び面倒くさそうに寝転がるハーレムに布団をかける。 「今はともかく眠って下さい。後でまた何か栄養のあるもの作りますから」 「……おう、肉な、リキッド」 「へいへい」 返事をしながら、出て行った面々の後を追って部屋を出る。 「いや〜、リッちゃんが来てくれて助かったぜ〜」 リビングに座って一息ついたのか、 安堵した表情でロッドが感慨深そうに洩らす。 「ほら、朝はいつも隊長寝てんじゃん?でも珍しく起きて来て、 珍しいですね、って声掛けたら、何か聞いてなかったみたいで。 『あ?』とか言うから、どうしたんスか?って肩に手を置いたら!!」 発見当時の様子をベラベラと喋りだすロッド。 ……その時の驚きを、どうしてもリキッドに伝えたいらしい。 身振り手振りで状況を事細かに説明する。 「でもさ〜………あ、コレ言っちゃダメか」 思わず何かを言いかけたロッドが、ハッと口元を押さえる。 しかし、一度言いかけた事はどうしようもなく。 「?何だよ」 「喋るなと言われていただろう」 「……迂闊に口を滑らせたな、ロッド」 「まいっか、今隊長寝てるし大丈夫だろ」 Gとマーカーも本当に止める気はないのか、 曖昧な非難はするものの、ニヤニヤと笑いを浮かべている。 1人蚊帳の外扱いなリキッドは、事情がわからずポカンと3人を眺めている。 「???」 「実はな、風邪をひいた事を知らせるなと隊長から言われたのだ」 「……え?」 「リッちゃんにこれ以上迷惑掛けたり、心配させたくなかったみたいよ〜?」 「『絶対に喋るな』と固く口止めされたところにお前が現れたので、 実質少し慌てたが………お前に看病してもらった方がイイと判断して 事情を話した、というわけだ」 「それで隊長、あの時何か不機嫌だったんだ」 なるほど…と全てに合点がいった様子で頷く。 ハーレム自身もマーカーの判断を瞬時に理解しのか、 何も言わずリキッドの指示に従ったのだろう。 変に気を使うハーレムの姿が思い浮かんで、 嬉しさに口元が緩む。 「ほ〜んとラブラブだよな〜、オフタリサンは」 ロッドの声に我に返って、うっすらと頬を染める。 「カ〜〜〜〜ワイイ〜〜な〜〜vvリッちゃんってば!!」 「ぐっわやめろって!!(汗)」 堪らず抱きついて来たロッドの腕の中から もがいて何とか抜け出すと、恥ずかしさを紛らわすように 台所へ栄養をつける食事をつけるべく、食材を調理にかかる。 しばらくすると、ハーレムの部屋から何やら叫び声が聞こえる。 どうやらハーレムが起きたらしく、空腹を訴えているらしい。 慌ててリキッドが料理を持って行くと、先程よりも顔色の良くなった風の ハーレムが、呆れた隊員を尻目にそれを平らげて行く。 「ふいー、食った食ったァ」 「病人とは思えない食欲ですね…」 「あの薬が効いたみたいだな〜……ホントに効くんだアレで」 「あぁ?何か言ったか?」 「いえいえいえ別に何も!!」 「それじゃ片付けるッスよ」 そう言って食器を盆に乗せて下がろうとするリキッドの横から ヒョイッとロッドがその盆を取り上げる。 「これは俺らがやっとくから」 「お前は隊長の看病の方を頼む」 「お?あ、ああ…わかった」 「他に何か用があれば俺を呼ぶといい」 「お?おう」 口々に言って去って行く面々を、不思議そうに見送る。 親切なのは有り難いが、逃げるように去るのを、 首を傾げつつ扉が閉まるまでみつめる。 「それにしても………」 「ん?」 「せっかくの誕生日なのに、風邪ひくなんてついてないですね、隊長」 「そうか?お前が来てくれて嬉しかったけどな」 「……っ!! ///// ……あっ、そそっそういえば俺、隊長にバースデーケーキで何が食べたいですか、 って聞きに来たのにすっかり忘れてて………誕生日プレゼント用意してませんよ」 シュンとした様子で肩を落として項垂れるリキッドに、 嬉しい反面、何となく照れ臭くなって 気持ちを誤魔化すようにボリボリと頭を掻く。 「あ〜〜〜〜……何だ、今回は事態が事態だからイイんじゃねェの?」 「でも、俺何かお祝いしたいです」 バッと顔を上げて真摯な表情で言う相手に、 どうしようかとまだ少しクラクラする頭を巡らせる。 「んじゃあよ………こんなのはどうだ?」 「オイ、あんま動くな…」 「隊長こそあんまり動かないで下さいってば」 「俺はイイ位置を探してんだっての。お前だってさっきOKしたじゃねェか」 「そりゃイイとは言いましたけど、そんなに動かれたら痛いですって」 「ワガママな奴だな〜」 「何で俺!?そっちだろ?」 何やらハーレムの部屋からいかがわしい会話が続いている。 部屋の外にいた面々は、2人のイチャイチャパラダイス(笑)が また始まったのかと、ウンザリした様子で家を出て行く。 先程口止めされた事を話してしまった事がバレるのも時間の問題だし、 このまま2人のイチャイチャっぷり(特にリキッドの喘ぎ声とか)を 聞いているのも精神衛生上?非常に良くないので、 3人は遅めの散歩へと出掛けるのであった。 ちなみにその問題の部屋では、2人がベッドの上で何やら言い合っている。 しかも先程3人が想像したようなエロティックな事態ではないようである。 「ったく……たかが膝枕なのに何でそんなうるさいんですか」 「お前な〜、眠り易い位置を探すのは普通の枕でもすんだろうが 枕は大人しくされるがままになってろよ」 「へいへい、わかりました〜」 リキッドは今現在、ハーレムの枕としてその足を提供している。 それもそのはず、先程ハーレムへのプレゼントとして提案されたのは、 「リキッドが膝枕をする事」だったのである。 頭を落ち着ける位置が決まったのか、大人しくなったハーレムは 気持ち良さそうに眼を細めながらリキッドを見る。 その視線に促されるように、流れる金の髪にそっと手を添える。 「それにしても、俺が来たから良かったものの、 あのまま放っておいたら余計に悪化するところだったんですよ? アイツらもアテニならないみたいだったし……… どうするつもりだったんですか?」 「ん〜?まあその時はその時だ」 撫でられる感触が気持ちイイらしく、 半分夢の中のように微睡みながら、リキッドの説教を聞く。 「全く。今からこんなんでどうするんですか? 早くお嫁さん貰って、世話してもらわないといけないですね」 その返答に呆れた溜息を返してさらに説教を続けながら、 自分の言ったセリフに少し傷ついた顔を浮かべる。 「……でも隊長みたいな破天荒な性格に合うお嫁さんって想像できませんけど」 ハーレムから見られないよう顔を上げて、 自嘲気味に笑って戻すと、ハーレムがジキッドをジッとみつめている。 「じゃあリッちゃんがなってくれよ」 「は?何を言って―――」 「俺の性格をよくわかってて、しかもそれに付き合ってくれる嫁さん ………ホラ、お前の事じゃねえか」 「いや、俺は迷惑です。それに無理矢理付き合わされてるんですけど」 「………………」 「隊長………?」 リキッドの呼びかけにも答えず、ゴロリと体勢を変えて、 横向きに寝そべり、沈黙してしまう。 「俺はお前しかいらねェからな」 「…はい」 ボソリと呟かれた声は、ちゃんとリキッドに届いていて。 答えた顔はとても嬉しそうに、花のようにほころんでいた。 end. ってワケで、ハーレム誕生日お祝い小説?でした。 Happy Birthday ハーレム隊長!!いつまでもリキッドとお幸せに!!(笑) 相変わらずバカップルな締めになってしまいました……(汗) でもこの2人はバカップルが似合うと思うので良し!! オマケでいつものパターンをつけようかとも思いましたが、 今回はパス。イイカンジのまま終わらせてみましたvv ハーレムが風邪ひきって……ガキの頃ならいざ知らず、 47歳のあの容貌では想像出来ませんけどね〜………(汗) |