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その夜、夕飯を食べ終えたパプワハウスの面々は、食後の片付けに追われるリキッドをよそに、 何やらソワソワと落ち着かない様子だ。 その様子に気付いたリキッドは、どうしたのだろうと首を傾げつつも家事に専念する。 「か、家政……リキッド!!」 ようやく片付け終えたリキッドがエプロンを畳みながらお茶の用意をすべくテーブルに戻ると、 更に挙動不審になったコタローが視線を泳がせつつリキッドに近寄る。 「どうしたんだ?」 「あっ……あのね、こっ、これあげる!!」 そう言って渡されたのは、沢山の赤と青の小さな花が束ねられた花束だった。 しかし、貰えるのは確かに嬉しいが、何故今なのか理解出来ないリキッドは、 今日は何の日だっけ?と頭を傾げる。 ポカンとしたリキッドの様子に気付いたコタロー達は、その眉間にギュッと皺を寄せる。 「……もしかして、家政夫ってば今日が何の日か忘れてる?」 「……………ごめんなさい。今日は何の日デスカ(汗)」 負のオーラを漂わし始めるちみっこ達から逃げるように距離を取りつつ、 全く予想のつかないリキッドは下っ端根性全開に土下座する勢いで尋ねる。 「もーーーーーー!!何言ってんのさ!!今日はリキッドの誕生日でしょ!?」 「え………あッ!!」 憤慨するコタローに言われてようやく気付いたらしく、ハッとするリキッド。 「も〜、せっかくあげたのに台無し〜〜〜…」 「ごめんごめん」 「だからやり直し!!」 仕方ないな〜と呆れた様子で言いながら、コタローはリキッドの手から花束を奪い取ると、 「今度はパプワくんとチャッピーも一緒にね」と言って満面の笑顔を浮かべて、 再び花束をリキッドに差し出す。 「「リキッド、お誕生日おめでとー!!」」 「綺麗だな……有難う、コタロー、パプワ、チャッピー」 祝福の言葉と気持ちの一杯つまった贈り物に、リキッドも満面の笑顔で返し、その花束を受け取る。 コタローは先程の赤と青の花だが、パプワとチャッピーから貰った花束は白い花束だった。 「……あれ、皆一緒じゃないのか?」 「花言葉で選んでみたぞ〜」 「パッ、パプワくん!!」 恥ずかしそうに言うコタローに、「?」と不思議そうにその顔を見る。 するとパプワが日の丸扇子をんばッと開いてコタローの制止を聞く事もなく話し始める。 「コタローの持ってた花は『バーベナ』といって、花言葉は『家族愛』だ。 ボクとチャッピーのは『マーガレット』『真実の友情』って意味なんだぞ〜」 「わうう〜」 「へえ、家族愛に友情か………ホントに嬉しいな。有難う3人共」 優しい微笑みを浮かべて3人の頭を撫でるリキッドに、ちみっこ達はくすぐったそうにしながらも、 褒めてくれた事に嬉しそうに眼を細めて笑う。 「今日が誕生日だなんてスッカリ忘れてたよ…言ってくれりゃケーキでも作ったのに」 「いいのいいの。 ……ホントはね、島の皆と一緒にパーティーしてお祝いしたかったんだけど、それだとリキッドが 料理作らなくちゃいけなくて大変だからさ…今回は僕らだけでお祝いする事にしたんだ」 「今日1日休ませてやりたかったけど、秘密にしたかったからな〜。すまんリキッド〜」 「いいよ、これだけで充分嬉しい」 花の香りを吸い込む顔が柔らかに微笑んでいて、ちみっこ達は自分達の目論見が成功した事に、 満足そうに顔を見合わせる。 「ってワケでプレゼント渡したんだから、明日は豪勢なご飯にしてよね!!」 「おう、腕によりをかけて美味しいモン作ってやるよ」 やったー!!と喜ぶ無邪気なちみっこ達にクスクスと笑いながら、 夜も遅くなって来たので就寝準備をしていると、コツコツと控えめなノックが聞こえる。 「はい?」 こんな時間に誰だろうとそっと扉を開けると、その向こうには特戦部隊の面々の姿があった。 「やっほ〜リキッドちゃんv 夜遅くにごめんね〜v」 「別に構わないけど…どうしたんだ?」 3人揃っての、しかも夜遅くの来訪に不思議に思いつつも中へ入るように促す。 しかし3人はそれを辞退するようにフルフルと首を振る。 「いやさ〜……隊長にお前連れて来いって頼まれちゃってさ〜」 「隊長に?」 「だからここは我々に任せてあちらへ向かってくれ」 「…?」 「そういう事だから、ちみっこ達イイよね?」 了解を得るようにロッドがちみっこ達に声を掛ける。 「うん、別に明日の朝ご飯さえ何とかなればイイし」 「ゆっくりしてこい」 特に異存はなさそうなので、リキッドは冷蔵庫に何があるか、などをマーカーに伝えて パプワハウスを後にする。 「よう、来たか」 シシマイハウスに辿り着くと、1人部屋で酒を呷っていたらしいハーレムが出迎える。 相変わらずの散らかりように苦笑しながら、リキッドはハーレムの側へ近寄る。 「こんな時間に何か用ッスか?」 「まあ大した用じゃねェが……スッカリ忘れてたんだろうなと思ってよ」 「……………………」 「お前は昔っから自分の事に関してはニブかったからな〜」 ハーレムの発言が何を意味しているかすぐに理解出来て、グッと呻いたまま何も言えなくなってしまう。 それが図星だったとわかり、ゲラゲラ笑われるハメになり、ますます俯くリキッド。 「まあイイ、別にからかう為に呼んだんじゃねェしな」 そう言って立ち上がると、ハーレムは自室に引っ込んでしまう。 しばらく待っていると、何やらガサガサとした音と共に戻って来るが、後ろ手に持っていて 隠されているのでそれが何かを知る事が出来ない。 「………ほらよ」 「わ……ッぷ」 ぶっきらぼうな言葉と共にバサリと渡されたのは、花束。 黄色がかったバラとカスミソウが束ねられたそれは、剛胆で破天荒なハーレムには珍しい、 エレガントな雰囲気を醸し出す出来映えだ。 「Happy Birthday………リキッド」 背後から抱き締め引き寄せると、耳元で囁きながら頬に祝福のキスを落とす。 大好きな人からのこの上ない祝いの言葉とプレゼントに、リキッドは事態に追い付けず、 首まで赤く染めてパクパクと金魚のように口を開閉させている。 「んだァ?嬉しくねェのかリッちゃんは」 「いやいやいやいや!!!ううう嬉しいですけど!!!」 大したリアクションが返ってこないので不機嫌そうにするハーレムに、ブンブンと手を振って 必死に弁解しようとするものの、上手く言葉が出て来ない。 「なッ……なな何かコイビトって感じで恥ずかしいんですってば!!」 更にトマトのようになった顔を見せないように俯くリキッドを背後で眺めながら、 見える耳や首筋が真っ赤になっている様子に、クスリと口元を歪める。 「……実際に恋人だろうが」 「……ッ そ、そうなんですけ……んッ」 顎を掴んでゆっくりと顔をあげさせ、狼狽えて今だ何やら口走る唇を塞ぐ。 しばらくその薔薇色に染まった唇の感触を堪能して離すと、リキッドの瞳は潤み、 誘うようにハーレムをみつめていて、思わず煽られその上気した肌に吸い付きたい欲求に駆られる。 それにゴクリと唾を飲み込むと、リキッドが続きを催促するようにハーレムの髪を引っ張って来る。 「たい…ちょ……」 互いの唾液で艶やかに濡れた唇が、トドメとばかりにハーレムを呼ぶ。 そこで理性のゲージがあっさりと振り切れたハーレムは、先程とはうって変わり、乱暴に抱き寄せると 貪るような激しい口付けを落とす。 「んンッ」 「………もう、止まらねェからな」 そう宣言すると、布地の隙間からリキッドの肌へ手を侵入させる。 それにビクリと震えながらも、その手に己の手を沿わせてギュッと引き寄せる。 「俺が望んだんだから……止まらなくてイイッスよ…」 うっとりとそう告げられて、更に煽られたハーレムはソファを乗り越えて前に回り、 リキッドを押し倒す事にした。 「そういえば……こんな黄色いバラってあるんスね、知りませんでしたよ」 情事の後、気怠い身体をハーレムに抱き締められながら、貰った花束の香りを嬉しそうに吸い込む。 背後でモソリと動いたハーレムが、リキッドの肩口に顎を乗せながら、その花束を覗き込む。 「ああ…俺もそんな花は詳しくねェんだけどな?あの本見て思いついたんだよ。 俺のガラじゃねェとは思ったけど、ここじゃロクなモンプレゼント出来ねェからな…ちょうど良かったぜ。 バラは違うが、カスミソウはお前の誕生花なんだとよ。花言葉は…愛らしい、だったかな」 「そうなんスか!?うわあ……スゲエ嬉しいッス…有難うございます隊長」 花に顔を埋めながら、心底嬉しそうな微笑みを浮かべるリキッドに、ハーレムも思わず微笑みを返す。 「ところで、このバラの名前とか花言葉とか、やっぱりあるんスかね?」 何となく興味をひかれたらしいリキッドが、背後のハーレムを振り返りつつ尋ねる。 その質問に、何やらバツの悪そうに眉を寄せつつ、肩に顔を埋める。 「………そのバラは『マッシャル・ニエル』とか『マーシャル・ニール』とか言うらしい」 「へえ」 「花言葉は………………」 非常に言いにくそうにしているハーレムに、リキッドが不思議そうに振り返ろうと首を捻るが、元に戻されてしまう。 するとそのまま耳元にキスをして、その音に紛れるようにコッソリと囁かれた。 「My heart and soul are your ones.」 End. ギリッギリで間に合いました!!(汗) リキッド誕生日おめでとう〜〜〜〜!!! 末永くハーレム隊長とお幸せに!!!(笑) タイトルにある「floriography」は「花言葉」って意味です。 そのままだと内容がバレバレなのであえて使ってみました。 そして前半はダラダラに、後半はほのぼの家族+デロ甘にお送りしました。 …いかがだったでしょうか?(汗) 今年は隊長の誕生日お祝いし損ねたので(汗)両方幸せに出来るようにしてみましたv 何気なく花言葉のHPを見てて「これやぁ!!!」と思いついたネタです。 マーシャル・ニールもしくはマッサル・ニエルで検索すると日本語が出てきますよ。 それをあえて英語に翻訳して使ってみました。クサッ!!!(笑) ここではあえて意味はお教え致しませんので、翻訳してみるなり、検索してみるなりしてみて下さいねv 背景画像、イメージ通りの花束画像があってホッとしてます。まさにコレ!!! ともかく、皆に祝福されるリキッドが書きたかったので満足です。 |