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太陽が昇り、ようやく空が白み始める頃―――― ふと庵が目を覚まし、水を飲もうと半身を起こすと、ギシリとベッドがしなる。 その音にビクリと反応して、横から手が伸びて来て腕にしがみついてくる。 「どこに行くんだ…?」 心配そうな面持ちで庵を見上げると、逃がすまいとゴロリと転がって シーツを挟んだ上に乗り上がって来る。 「いや…水を飲もうと思っただけなんだが……」 余程置いて行かれた事がショックだったらしく、寝惚けているのもあるだろうが、 その瞳には不安の色がありありと浮かんでいる。 頭を撫でて宥めようとするのだが、腰に腕が回り、身動きができなくなる。 「どこにも行かんから落ち着け。昨晩の今だが………理性が飛ぶ」 「………あ。」 シーツの上に乗り上がった事で京の裸体があらわになって、 昨晩の情事の痕が生々しくまだその体に残されており、 朝日に照らされたその姿は、何とも扇情的で庵を落ち着かなくさせる。 これ以上されては困ると慌てて中に入り身を隠すと、取り繕うようにへへへと笑う。 「……一人は嫌いか?」 黒髪に指を絡めながら問うと、しばらく考えるような様子をみせる。 「お前と暮らして、こういう関係になるまでは何とも思わなかったけど………」 こうして人の温もりを知っちまった今は………嫌いだ」 辛そうに顔を歪めるのを見て「そうか」と呟くと、その頬に手を滑らせる。 気持ち良さそうに眼を細めてすり寄る姿に微笑みを返す。 「もうお前を置いていくような愚かな事はしないと誓う。 ……だから安心して眠っていろ。まだ辛いだろう」 額に口付けると小さく答える声が聞こえ、ゆっくりと身を気遣うように横たわると、 傍らに置かれた庵の手を掴み、ギュッと握る。 「ずっと…一緒にいような……―――」 眠りの底へ沈みながら呟く声に、答えだというように握り返すと、 安心しきったように寝息が聞こえて来る。 それをいとおしげに眺めながら同じように身を横たえて寄り添い、 髪をサラサラと撫でる。 今なら別れ際に神楽の言った言葉の意味がわかるような気がする。 月は闇夜を照らす導きの光 闇にありながらも光を放ち、闇を行くものを照らす ――それは、『月』を抱く自分が完全なる闇のものではないということ。 太陽を照らす事は出来ないけれど せめて海に沈む時はそれを優しく見守り、 登る場所を間違えぬよう導く光となろう いまだ握られている手を取り、その指に誓いの口付けを落とす。 ―――――スリーピングビューティーに 愛を込めて。 ―終― ふうううう………よ、ようやく終わりました……(汗) すいません、長くかかってしまって4年も経過してしまいましたね…… もしいらっしゃれば、完結するのを待ってて下さった皆様、 大変お待たせして申し訳有りませんでした……(土下座) 一応 先行して販売された同人誌の内容を 改行して効果を出したりして、変更を加えてありますが、 ほとんど文章に変更は加えてません。 ……なので、珍しくエロいシーンまで掲載されてます(汗) 最初に注意書きがしてあるし、大丈夫ですかね? ダイレクトに書いてないし、ほんのちょっとだし。 でもないと寂しいかな、と思って入れてみました。 「エロ読みたかった」って人は、残念でした(笑) そういうワケで『泡沫の恋』もこれで終了です。 随分内容的にも長いものになってしまいましたが、 読んで下さって本当に有難うございました!! |