当日。
出掛けて行く京を見送った後、ひっそりと京の自室へ戻った庵は、
隠し持っていた物をそっと置く。
気付かれなければそれでいい、と賭けにも似た思いを抱きつつ、部屋を出る。





帰宅とともにパーティーは開かれ、親しい友人や大切な使用人達に祝福され、至福の時を過ごす。


嬉しさのあまり、普段あまり飲まないワインを(友人にプレゼントされた事もあって)
結構な量を飲んでしまい、お開きになった気のゆるみもあってか、
さらにフラフラになってしまい、庵に支えられながら自室へとやってくる。

ひんやりとした廊下を歩いている内に酔いは段々と醒めて来たが、
支えてくれている庵の顔が至近距離にあって、その緊張でいまだ顔は赤く、
足もおぼつかないので相手には酔っていると思われているだろうが、
激しく打つ心音を聞かれてしまうのではないかと、ハラハラしている。
一方庵はというと、自分の思考に捕われるあまり同じように緊張しており、
京を見ている余裕がない。その点が京にとって幸いな部分だろう。

扉を開けたところで、ピクリと庵が何かに反応したが、京は気付くことなく
ゆっくりとベッドに下ろされる。

「大丈夫ですか?」
「うん……悪いけど、水持って来てくれねェかな?」
「わかりました」


庵が出て行った事で、フーッと緊張を解くように息を吐くが、これからが勝負なんだ、と
拳を握り、己の心にグッ気合いを入れる。

ーふと、嗅ぎ慣れない香りがかすかながらも部屋の中でする事に気付き、
どこからか探るように周囲を見回すと、月明かりに照らされた窓辺に、
一輪の深紅のバラが置かれているのを発見する。
近寄ってみると、バラには黒いリボンが巻かれており、その結び目には
クルクルと巻かれたメモがはさまっている。
しゅるりとリボンをほどき、メモを開くと、そこには一言だけメッセージが記されていた。


「Happy Birthday」


「…………!!」

その筆跡には見覚えがあって。
嬉しさでかあっと頬が紅潮して行くのがわかる。


「水を……!!」

戻って来た庵が、窓辺に立つ京をみつけ、驚いた様子で目を見開いている。

「これ……お前が?」

しばらく沈黙が流れたが、観念するように水差しとコップをサイドテーブルに置くと、
京に近付き、苦笑するように微笑んで、バラを持つ手をそっと取り、持ち上げる。



「……身分も、性別も。越えられぬ事を承知で……京様、貴方を愛しています」



持ち上げた手の甲に、愛を誓うようにキスをする。
するとそのまま庵の胸へ京が倒れ込んできて、慌てて受け止める。

「酔ってる間の夢じゃないよな?ホント…だよな?」
「はい」

庵が強く答えると、背中に腕が回されて、京が抱き締めてくる。
俯いた顔を上げ、しっかりと庵を見据える顔は、赤く染まっているものの、
その頬は嬉しそうな微笑みに歪んでいる。


「俺も……八神が好きだよ」


その想いに応えるように、庵も腕を回して京を胸の中へ抱き締める。

「ホントに叶うなんて思ってもみなかったから……嬉しい。
 最高の誕生日プレゼントだ……」

そう言う京に優しく微笑みを返しながら、そっと額に口づける。
しかしその行動にムッとする顔が。

「?」
「フツー、想い合った2人がすんのは、そこじゃねェだろ」

すねたように言う姿に愛しさを感じながら、
月夜の下で2人の影が重なったーーーーーーーーーーーー








































「あ〜〜〜〜……めでたしめでたしなのは良かったケドさ」

数日後、事態の結果報告を気候とやって来た紅丸を、京はウキウキした様子で迎えた。

「俺もさ、2人が幸せになってくれたってのはそりゃー嬉しいよ………」


「だからって何だよお前等!!イチャイチャしやがって!!!!!」


現在、紅丸の前には勿論京と庵がいるワケだが。
片時も離れたくないのか、隣に座る庵にベッタリとくっつき、さらには腕を絡めている。
かくいう庵も特に困った様子ではなく、平然とした表情で現状を受け止めている。
……まさに「バカップル」というのがお似合いな2人組だ。



「チクショ〜…2人を大事に想うあまり、こういうウゼェ結果が来るって事を
 すっかり忘れてた俺様自身がニクイ…………」





おわれ(涙)





































っしゃい!!(気合い)
何とか誕生日にギリッギリ間に合いましたよ京ちゃん!!
お誕生日おめでとうございます〜!!!

ってワケで、ご主人様な京ちゃんと執事庵さんのお話でございました。
パラレル設定のお話で、こんなに時間かかるとは思いもしませんでした!!!
庵さんがご主人様だったらスラスラ書けてたんでしょうけどね……
逆だと非常に難しかったです。
でも頑張った甲斐はあるのではないかと……自分では思っております。

ちなみに、街で庵さんと歩いてたのは従姉のマチュアさん(笑)でした。
神楽ちづりんではいつも出て来て予想されそうだったのでv

あと、赤いバラの花言葉は『愛情』『熱烈な恋』だそうですよ。
京ちゃんは色々勉強してるので、それがわかってしまったという事でした。
文章力なくてすいません……!!(涙)


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