本日の任務はまたもDランクの『川辺のゴミ拾い』
ちょうどシーズンである為、川沿いには沢山の空き缶や食べ物の袋が落ちている。

「ったく…ちゃんとゴミくらい持って帰れっつーの!!
 こういうのを『カンキョーハカイ』って言うんだってば!!」
「よく知ってるじゃない、ナルトのクセに」
「む〜〜〜……俺だってちゃんとベンキョーしてるんだってば」

缶を拾い上げながらブツブツと文句を言うナルトをからかうのは、
サスケではなくサクラである。
それというのも、2組に別れて作業する、とカカシが言った際に
「サクラと組みたい」とナルトが申請し、
各員に異議はなかったので決定した為である。


「お前らも素直じゃないよねェ…」


そんな様子を見て呟くカカシの側にはサスケがおり、
カカシが広げるゴミ袋に、手裏剣を投げるように、適格に缶を投げ入れていく。
少し距離があったせいか、その呟きはサスケに届かなかったようだ。

「俺が口出す問題でもないし、見てて面白いし。
 ……ま、なるようになるデショv」

呑気にそんな事を言いつつ、投げて寄越されるゴミを
袋に入り易い角度にヒョイヒョイと動かして向きを変える。
すると、少し上流でバシャーンと激しい水音が聞こえる。
音のした方向にサスケとカカシが顔を向けると、足を踏み外したのか
ナルトが川の中で胸辺りまで水に浸かって座り込んでいる。

「大丈夫かよ、ウスラトンカチ」

水を鼻から吸い込んでしまったらしく、咳き込んでいるナルトに
サスケが声を掛けながら手を差し出してくる。
その手に掴まって立ち上がりながら、『ウスラトンカチ』発言に
反論したいが、今の状況では尤もだと言われても仕方なく。
「ぶ〜〜」と膨れた表情で岸に上がる。

「あ〜あ、ズブ濡れじゃない。ほら、タオルで頭拭きなさいよ」
「サンキューサクラちゃん」

カカシが用意していたタオルをナルトに渡しながら、
「しょうがないわね〜」などと言いつつ、ナルトが拭くのを手伝っているサクラ。
姉と弟というよりは、親子のような様子に、カカシの眦が微笑ましそうに下がる。

「服はちゃんと乾かさないと、風邪ひくぞ」

その様子をジッと見ていたサスケが冷静にそう告げる。
ナルトはその言葉に、しばらく己の服をじっとみつめるが、

「この暑さだし、すぐ乾くだろうし、ゴミ拾いもあと少しだから、
 サッサと終わらせて着替えれば大丈夫だってばよ」

そう言ってニッコリと笑うので、心配しつつも全員納得する。
再び作業を開始するものの、さすがにナルトも濡れた服は気持ち悪かったのか、
影分身の術を使い人員を増やして、任務を草々に終わらせた。


























―翌日―


昨日あれだけ皆に「風邪をひかないように」とクギをさされたにも関わらず、
やっぱり風邪をひいてしまったナルトは、ボンヤリと体調悪げに集合場所に現れる。

「やっぱりね〜……アンタの事だからこうなるって予想は出来たけど」
「おはよってば……」
「フラフラしてんじゃねえかお前」
「うん……でも大丈夫だってばよ〜……」

弱々しく答えるナルトを心配そうに見つめるサスケとサクラ。
特にサスケは昨日、任務が終わった後も、心配で家に行こうかと何度も悩んだ。
だが今現在避けられているという状況下では、家に行ったとしても迷惑がられて
終わりだと思い、せめて早めに集合場所に来てナルトを待つ事にしたのだ。

「カカシせんせ…早く来ないかな……」

カカシが来るまでの間に、次第に力を失ってダランとする身体と段々と細くなっていく声に、
危険を感じた2人が、ナルトをこの炎天下よりも木陰で休ませようと近付く。

「やだナルト!!酷い熱じゃない!!」

ナルトの手を引こうと握ったサクラが悲鳴のように声を上げるので、
サスケが額当てを外して熱を計る為そっと触れる。

「……っのウスラトンカチ!!無理して悪化させてんじゃねェか!!」

苦しそうに薄い呼吸を繰り返す身体をサスケが抱え上げる。
力のない身体が、動きに合わせてサスケに寄り添うように倒れる。

「サクラはここで待機してカカシに連絡を。
 俺はとにかくナルトの家へ行ってコイツを寝かせておくから」
「わかったわ!!」

サクラに手伝ってもらって、ナルトを背負うと、
なるべく負担をかけないように注意を払いながら、
出来るだけ早くナルトの家へ、と木の葉の里を駆け抜ける。



「サ……スケ……」

こうして接近していなければ聞き取れない程のか細い声がサスケを呼ぶ。
それに答えるように少しだけ顔を向ける。

「飛ばすから、しっかり掴まってろよ!!」
「うん……」

服越しにでも伝わる熱い体温と、ナルトの太陽のような匂いを
間近に感じ、沸き上がる衝動と動揺する心を抑えつけながら、
見え始めた家に向かって地面を蹴る。
















部屋に入りベッドにゆっくりと身体を横たえさせると、
少し落ち着いたのか、苦しそうにしてはいるものの
スゥスゥと寝息を立て始める。
安堵したサスケは、少しでも熱を下げるべくタオルと水桶を用意し、
ナルトの額に当ててやる。温くなっては再び水で冷やし、
を繰り返していると、呼吸が穏やかなものに変わっていく。


「ナルトの様子はどうだ?」

声のした方に顔を向けると、窓の外にある樹の枝だの上に
遅刻常習犯であるカカシの姿があった。

「まだ少し苦しそうだし、熱も高そうだ」
「そうか……ま、病院で薬はもらって来たから。
 起きたら飲ませてやってくれ」

窓から中に入り、熱の具合を確かめながら頭を軽く撫でてやると、
サスケに薬の入った袋を手渡す。

「そんじゃ俺は帰るから、ナルトの看病ヨロシクv
 あ、明日は任務休みにしとくから、ゆっくり休むように言っといて」
「わかった」

サスケが頷くのを合図に、カカシは再び窓からヒラリと消えていく。
残されたサスケは、ナルトがしばらく起きそうにないので
起きた時に薬を飲ませるべく、何か食べ物を作ってやろうと立ち上がる。
しかしのぞいた冷蔵庫には牛乳以外に使えそうなものがなく、
買い出しに出かける他はなさそうだ。
いない間にナルトが起き出しても大丈夫なように書き置きを残して、
買い物に出かけるべく外へ向かう。


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